色鮮やかなポスターは印刷物の内容を魅力的に見せてくれますが、色褪せてしまうと、それだけで大きなイメージダウンになります。食べ物であれば不味そうに見えますし、商品であれば人気がなさそうに見えてしまうので、販促物としての役割を果たしてくれません。
ポスター制作はコストもかかるので、色褪せる度に作り直すのは避けたいですね。販促物の役割をしっかり果たしてもらうためにも、ポスターが日焼けする原因を把握し、効果的な対策を行いましょう。
強い日差しや照明に当たり続けることで起こるポスターの日焼け(色褪せ)
ポスターの内容が、本来の色よりも退色したり全体的にくすんだりしてしまうのが日焼け(色褪せ)している状態です。
印刷加工では、アンティークやノスタルジックな雰囲気を出すために、わざと色褪せた感じを出すカラーをかぶせることもあります。しかし、日焼けの場合は表面の艶がなかったり、乾燥によって折れ曲がったりしているので加工でないことが一目瞭然です。
こういった日焼けは、太陽の光をダイレクトに浴びる屋外のポスターはもちろん、室内であっても、窓から入り込む日差しや店舗照明の蛍光灯の光が当たる場所に貼ってあるポスターに起こりやすい現象です。
ポスターが日焼け(色あせ)する原因は紫外線によるインクの変質
ポスターが日焼け(色褪せ)する原因は紫外線です。電磁波の中でも強い力を持つ紫外線は、人間が浴び続ける細胞を変性するほどのダメージ力をもっています。この紫外線をポスターが浴びると、紙やインクの材料が変質してしまい、日焼けが起こるのです。
紙には発色性が高いリグニンという物質が含まれていますが、これに紫外線が当たると、リグニンの発色性が変性するのでポスター全体の色がくすんでしまいます。
インキは色によって違う原料を使っていますが、その中でもジスアゾイエローやカーミン6Bは結合が弱い性質があるので、紫外線を長時間浴びてしまうと、色を作る化合物の結合が壊され退色していきます。結合が弱いのは黄色と紅なので、これらの色を土台としたポスターは特に日焼けしやすい性質があります。
ポスターの日焼け(色褪せ)を防ぐ対策2つ
印刷物に限らず、どんなものであっても経年劣化を止めることはできません。
しかし、劣化の速度を遅くしたり、紫外線のダメージを緩和したりすることは可能です。ここではポスターの日焼け(色褪せ)を防ぐ3つの対策をご紹介します。
1. 紫外線を避けるためポスターを移動させたりUVカットラミネート加工を施したりする
ポスターの日焼けは紫外線が主な原因になるので、紫外線が当たらないようにするのが一番の対策です。室内の場合は、日差しが届かない場所に移動させたり、照明を蛍光灯からLEDに変えたりすることで紫外線を当てないようにできます。LED照明が予算オーバーの場合、紫外線をカットする蛍光灯に変えるのもおすすめです。
ただ、屋外の場合だとポスターを薄暗いところに貼ることはできませんし、カーテンなどで遮ることもできないので、UVカット効果のあるラミネート加工を施しましょう。UVカットラミネート加工は、紫外線からポスターを守るだけではなく、傷やホコリからも守ってくれるので綺麗な状態を維持するのにも最適です。
2. 紫外線に強い耐光性インキを使う
屋外で使用するポスターや、どうしても紫外線が当たる場所に貼るポスターを作る場合、耐光性インキを使うという方法もあります。
耐光性インキは普通のインキと違って、紫外線による顔料の分解を抑制できる特殊な化合物を使用しています。そのため、一般のポスターではワンシーズンで色褪せしてしまうようなシチュエーションで使われるポスターでも、長期間鮮明な画質を維持することが可能です。
3. 合成紙とラミネート加工で紫外線に強いポスターを作る
印刷会社が使う業務用プリンターでなら、普通の印刷用紙と違い、木材パルプではなく合成樹脂などが原材料になっている合成紙を使って印刷することができます。
こうした合成紙は強度が高く、耐水性に優れているほか、紫外線のダメージに対しても抵抗性があるので、特殊加工をしなくても日焼けを防ぐ効果が期待できます。
合成紙にラミネート加工をすると、ほぼ日焼けをしないポスターを作ることが可能なので、年単位で貼り続けるポスターは合成紙とラミネート加工で作成するのがベストです。
日焼け対策でポスターの販促力の低下を防ぎましょう!
色褪せたポスターを見ると、ポスターの内容だけではなく、そういったものが貼りっぱなしになっている環境に対しても悪いイメージがついてしまいます。店舗であれば販売しているものまで古臭く感じさせ、品質に関しても顧客を不安にさせてしまうかもしれません。
販促物のせいで顧客離れが起こっては本末転倒ですから、しっかり日焼け対策をして色褪せを防ぎ、販促力を低下させないようにしましょう。