印刷物に耐水性を持たせるには、ラミネートなど耐水フィルムを加工するというのが従来の方法でした。確かに耐水フィルムで加工をすれば水に対して強くなりますが、その代わりコストがかかりますし、印刷工程が増えることで納期も遅くなるというデメリットがあります。この問題点を解決したのが耐水紙のユポです。
ここでは、独自の製法によって開発されたユポについて詳しくご紹介していきます。
耐水性・耐久性を兼ね備えたエコ合成紙「ユポ」
紙の原料は木材パルプですが、ユポの主原料はポリプロピレンという合成樹脂と無機充填材という天然鉱物です。これらの主原料に添加剤を加え、ミクロボイドを発生させる二軸延伸フィルム成法によって成膜。そうすることで、紙のようなしなやかさや筆記性を持ちながら、耐水性や耐久性を兼ね備えるユポが作られます。
もともとは、紙を作るために行われる森林伐採をなくすため、自然保護を目的として開発された紙ですが、環境に優しく水に強い次世代型の合成紙として注目されています。
合成樹脂を主原料とするユポは水に強い
ユポが水に強いのは、合成樹脂が主原料だからです。
合成樹脂は石油から作られる物質で、プラスチックの原料にもなっています。極端な言い方をすると、ユポはプラスチックを紙レベルまで薄くしたようなプラスチックフィルムと同じようなもので、これをベースに添加剤を加えることで紙として使用できるよう加工されています。
つまり、ベースが水への耐性を持つラミネート構造になっているので、ユポは水に強いのですね。
ユポの強み6選
ここでは、ユポの強み6選をご紹介します。
1. 耐水性に優れており破れたりふやけたりせず湿気にも強い
耐水性のある紙はいろいろありますが、ユポの耐水性はプラスチックフィルムと同等です。紙の性質を持ちながら、水に濡れても破れたりふやけたり、変性しない強度を持っているのはユポだけです。
水への耐性があるのはもちろん、常に湿度の高いシチュエーションでもシワになったり丸まったりすることもありません。
2. 耐水加工されている他の紙よりも油や薬品への耐性がある
紙には、水だけではなく油や薬品などの特殊な液体に対しても弱い性質があります。耐水加工されているものであれば、多少の耐久性は期待できますが、それでも加工の材質と薬品の相性が悪いとすぐに劣化してしまいます。
一方、ユポは油や酸やアルカリなどの薬品に対しても強度を発揮し、印刷物のクオリティーをしっかり守ることが可能です。
3. 破損による劣化がなく印刷物のイメージ低下も防げる
ポスターなど長期間貼り続けるものは、あらゆるダメージで破れてしまったり折れてしまったりするので、どんどん劣化します。ですが、ユポはダメージにも強いので、破損による劣化がほとんどありません。わざと引っ張っても折り曲げても破れにくいので、印刷物のイメージの低下も防ぎます。
4. 燃やしても有害物質を発生させず環境に優しい
ラミネート加工された印刷物は、処分をするときに有害物質が発生するため環境を汚してしまいます。
ユポの原料は合成物質ですが、主原料は炭素と水素なので、燃やしても有害物質を発生させることはありません。紙の性質を持ち合わせているのでリサイクルも可能ですから、ラミネートの強度を持ちながらも環境に優しいのが強みです。
5. 紙と同じくなめらかでにじみも少ないので美しく印刷できる
ユポの表面は、紙と同じようになめらかな仕上りになっています。にじみも少ないので、鮮やかで美しい印刷が可能です。さらに強度を高めるラミネート加工も、柔軟性を残したまま美しく仕上げられます。
6. バリエーションが豊富でさまざまな用途に対応できる
特殊加工された合成紙というのは、用途に特化して作られるものが多いためバリエーションがありません。
しかし、ユポはサイズ展開しているだけではなく、シールが作れる吸着品や半透明タイプ、メタリック調シートなどの種類や厚みのバリエーションも豊富なので、さまざまな用途に対応できます。
耐久性を活かし様々なシーンで活用されるユポ
ユポは紙ですから、印刷にも、ノートやメモにも使えます。
また、「水に強い」という特性を活かせる以下のようなところでも活躍しています。
*屋外で風雨にさらされるポスターや掲示板のチラシ
*浴室やキッチンなど水を使う場所で使用するアイテムの商品ラベル
*飲食店のPOPやメニュー
*ウインドウステッカー
*工事現場や警告銘板などのサインシール
など
他にも、包装紙やショッピングバッグ、値札など、生活に関わるあらゆる用途に使うことができます。
印刷物に耐水性を求めるならユポ!
使い方次第ではコストカットも可能!
ユポは、普通紙と比べるとコストがかかります。しかし、使用するシチュエーションによっては、優れた耐水性を持つ性質を活用することで、印刷物を刷り直したり、追加したりする必要がなくなります。最初に費用がかさむといっても、耐水フィルムの価格と比較するとほぼ半分のコストしかかからないので、使い方次第ではコストカットも可能です。
種類もA4サイズやA3サイズだけではなく、ロール紙タイプやシールタイプと幅広いので、耐水性を求める印刷物を作る時には選択肢に入れておきましょう。