印刷用紙にはそれぞれ異なった特徴があり、用途によって使い分ける必要があります。
ここでは、光沢があるかないか、表面がなめらかかざらついているかなど、特徴のポイントを絞って代表的な印刷用紙の特徴を説明していきます。
上質紙は筆記性に優れている
上質紙は化学パルプだけで作られる紙で、コピー用紙と同じような紙質で上級印刷紙に分類される印刷用紙です。
表面も裏面も特殊な加工やコーディングがされていないので、筆記性に優れているというのが特徴です。それゆえ書き込み可能な紙として使いやすい性質があります。
上質紙に色をつけたカラー上質紙というのもありますが、特殊加工されている印刷用紙と比べて価格が安いのも魅力のひとつです。
バリエーションが多様で論文やチラシなど使い道も豊富
上質紙は、ざら紙などと比べて品質が良いのに低コストなので、量が多い印刷物に適しています。
また、厚みやサイズのバリエーションが豊富なので、小説やレポート、論文など書籍でも使われます。
他にもノートや封筒などの文房具、チラシ、ポイントカードなどあらゆる用途で使われています。
用途が幅広く大量印刷しやすい
光を反射しないことから、文字が多い印刷物でも読みやすいのがメリットです。
色の種類や用紙サイズ、厚みなども豊富なので用途幅が広いという強みもあります。
写真印刷や高級感が必要な印刷には適していませんが、それ以外の印刷物であれば上質紙を選んでおけば間違いないという使い勝手の良さも負けません。
インクがにじみやすいため印刷物には向いていない
コーティングがされていない分、インクがにじみやすく、発色性や再現率が低いのが上質紙のデメリットです。
そのため、インクを多く使う印刷物や写真データを印刷するのには向いていません。
コート紙は色の再現性が高い
コート紙は、上質紙と中質紙を原紙に作られている紙で、クレーがコート剤として塗布されている印刷用紙です。
コート紙で使われているコート剤にはつやを出す働きがあるので、光沢があり、高品質な印刷を可能にしているのが特徴です。
色の再現性にも優れていますが、鉛筆で書き込みをしたりスタンプを押したりする用途には不向きです。
インクジェットプリンターの印刷にも向いていないので、オンデマンド印刷などプロの印刷で使用するのが一般的です。
色をたくさん使う写真やポスターの印刷に向いている
写真の再現性が高いという特徴を持っているので活かし、ポスターやダイレクトメール、イベントのチラシなどに使われることが多いです。
また、コート紙自体の品質が良いので、ジュエリーや貴金属、自動車など高級感のある商品カタログや画集や美術品などの作品集にも使われます。
傷みにくい材質なので長期保存でも劣化リスクが低い
コート紙は適度な強度があり、さらに光沢があって高級感があるので、チラシなどの1枚印刷物でも傷みにくいのがメリットです。
長期間保管していても色あせや劣化などのリスクも低いので、使用頻度が少ない印刷物でも大量発注してコストを下げることも可能です。
高品質な印刷の反面コストがかかる
表面がツルツルしているので、何かを書き込む用途には使えません。
また、コストもかかるため費用対効果の低い印刷物には使えないなど、用途幅が狭いのもデメリットです。
マットコート紙はマット紙と上質紙の特徴を兼ね備えている
コート紙と同じく、マットコート紙もクレーのコート剤で表面をコーティングした紙ですが、コート紙よりも光沢感がなく落ち着いた印象の印刷用紙です。
見た目的に抑えられた光沢があるものの、コート紙とは違って筆記性があり、ボールペンや鉛筆で書き込めるのが特徴です。
ただしインクの吸収率は上質紙よりも劣るため、インクの乾きに時間がかかったり滲んだりするので、用途によって使い分けが必要です。
色味を沈ませて表現したい時に使いやすい
マットコート紙もイベントのチラシやポスターなどに使われますが、若干色がしずみやすく全体的に落ち着いたトーンなので、ラグジュアリーなホテルや結婚式場、会社案内のパンフレットなどに使用されます。
マットコート紙はコート紙・上質紙のデメリットを解決している
印刷をしても上質紙のようににじまず、発色性の高さはコート紙と同等というように、2つの印刷用紙のデメリットを解消しているのがマットコート紙のメリットです。
インクも沈みづらいので、1ページにボリュームが出せますから、ページ数を抑えてコストを削減しながらもしっかり感のある印刷物が作れます。
マット紙よりもコストがかさんでしまう
代表的な印刷用紙の中でも、もっともコストが高いのがデメリットです。
また、色彩の鮮やかさはコート紙より劣るので、画像によっては安っぽく見えてしまうこともあります。
正しい紙質選びでイメージ通りの印刷を!
印刷の仕上がりは、印刷方法によって変わると思っている方も多いかもしれません。
確かに印刷する機械のスペックも仕上がりに関わってきますが、それよりも大事なのが、紙質と印刷物の相性です。
印刷物の内容に合っていない紙質では、どんな印刷方法でもイメージとは違う仕上がりになってしまいます。
イメージ通りに仕上げるためには、印刷方法だけではなく印刷用紙の特徴をきちんと把握して、内容に適した紙質を選ぶことが大事なのです。