色は、印刷物の目的やイメージによって再現率を高めたり、明るさを補正したりする必要があるので、印刷を行う上で色校正は欠かせない工程です。
ここでは色校正について、またその必要性について掘り下げていきます。
色校正はお客様の満足するクオリティか確認するための工程
色校正は、元のデータと印刷物の仕上がりで、色味の違いや認識のズレをなくすために事前に試し刷りをすることです。
色校正には、本機本紙色校正と本紙色校正、簡易色校正の3つの種類があります。
本機本紙色校正は色味の再現性に優れている校正方法で、本紙色校正も本機本紙色校正より劣るものの、印刷製品に近い仕上がりになります。
簡易色校正は、低コストがメリットですが色味の再現率が低い校正方法です。
色校正はトラブルやリスクなどを避けるために行う
印刷会社によっては無料のところもありますが、基本的に色校正はオプションで有料となっているので、お金をかけてまでする必要はないと思うかもしれません。
しかし、色校正は印刷物の完成度を高めるために必要不可欠な工程なのです。
理由1:モニターの色と印刷物の色の違いを見るため
モニター画面で色を選んでも、その色と印刷物が同じとは限りません。
色というのは、照明の明るさやその色を見ている環境、周りの色によって見え方が変わるので、モニターで見ている色と印刷された色は違いが出ることがあります。
自分では全体的に明るい色味を配置したつもりでも、実際には暗めだったりすることもあるのです。
理由2:印刷する紙によって色が変わるため
印刷用紙にはいろいろな種類があり、写真の再現率が高いものもあれば、紙質がくすんでいるものもあります。
そのため、同じ色であっても印刷する紙によって色の印象がガラッと変わります。
本来であれば、色の再現率が高いものを使用するのが理想ですが、予算によっては再現率が低い紙質のランクしか使えないこともあるでしょう。
こういった場合、出来上がりはまったく違う色味になってしまうので、色校正で大きなズレがないかチェックをして、場合によっては印刷用紙を事前に変更するという手段も取ることができます。
理由3:人によって色の印象が異なるため
環境や感性、経験などの影響で、見る人によって色に対する感覚は異なります。
そのため、トーンが少し落ちるだけでも暗い、不味そう、不健康そうなど印刷物の印象がガラッと変わってしまいます。
印刷物が本来伝えたいイメージが色によって変わってしまったら、広告媒体などは意味がなくなってしまうのです。
色をそのまま再現することは重要ですが、色校正によって伝えたいイメージを再現されているか確認することも大切です。
理由4:色によるトラブルを防ぐため
通信販売は年々市場を拡大していますが、それに伴い増えているのが、カタログ商品と実物の色の違いによるトラブルです。
カタログでは落ち着いた色味だったのに、実際に届いた商品は派手な色だったというようなトラブルは多く、そのため返品や商品交換の余計な業務が発生してしまいます。
商品撮影ではできる限り実物通りの色味を撮ろうとしますが、100%再現するのは不可能。色校正で実物に近いかチェックすることで、こうしたトラブルを事前に回避できるのです。
理由5:刷り直しのリスクをなくす
色校正をしないまま印刷を進めてしまうと、出来上がった印刷物がイメージとまったく違うというトラブルになることがあります。
完成度が低くては使い物になりませんから、再度刷り直しをしなくてはいけません。
そうなると、余分な費用がかかってしまいますし、納期もどんどん遅れてしまいます。
事前に色校正をしておけば、イメージ通りに仕上がるかどうかが確認できるので、刷り直しのリスクをなくすことができます。
色校正は試し刷り→チェックを繰り返して色味補正を行う
色校正は、印刷工程の中では最後の方の段階になる作業で、文字校正を行ったあと、元のデータに沿って試し刷りをします。
この時に色味のチェックをして、認識とズレているようであれば色のトーンや色味を補正し、再度試し刷りの実施です。
刷り直しとチェックを繰り返し、最終的に認識とぴったりの印刷物が出来上がれば本刷りに入ります。
もしくは最初から色のトーンを変えたものを何十万枚も試し刷りをして、その中から一番イメージと合っている印刷物を選び、その色味で最終的な印刷物を決定します。
色校正は印刷物のランクアップに必要不可欠!
色というのは、ちょっとしたトーンの違いや色味の変化によって、印刷物のイメージに大きな影響を与えます。
色次第で印刷物のインパクトや印象、売上が変わってくるので、色校正はとても重要な要素です。印刷物を依頼するときには色校正の技術はもちろんセンスに優れている印刷会社かどうかをしっかりチェックしておきましょう。