名刺やポスター、同人誌など大量の印刷物を制作したい人や制作したことがある人は「オフセット印刷」という言葉を目にすると思います。
この記事では、きれいな仕上がりを実現しつつ大量印刷に向いているオフセット印刷について解説していきます。
- オフセット印刷とは?わかりやすく解説 >オフセット印刷の歴史は?
- オフセット印刷の仕組みと作業の流れ >仕組み① 構造
- オフセット印刷の種類は? >1:枚葉印刷機
- オフセット印刷と他の印刷の違い >1:オンデマンド印刷との違い
- オフセット印刷のメリットとは? >メリット1:大量印刷に向いている
- オフセット印刷のデメリット・注意点は? >デメリット1:版を製作する必要があるため、小ロット発注には不向き
- オフセット印刷に向いている印刷物一覧
- ”東京カラー印刷通販”の印刷サービス
- まとめ
>仕組み② 色表現
>仕組み③ 網点
>2:輪転印刷機
>2:インクジェット印刷の違い
>3:グラビア印刷との違い
>4:フレキソ印刷との違い
>メリット2:コストを抑えられる
>メリット3:色々な用紙サイズに対応できる
>メリット4:使用可能な紙の種類が豊富
>メリット5:写真やイラストなど、細かい描写の印刷を表現できる
>デメリット2:製版に時間を要する
>デメリット3:内容が微妙に異なるものを印刷するには不向き
オフセット印刷とは?わかりやすく解説
オフセット印刷とは、主に商業印刷に用いられる印刷技術の一種です。
きれいな仕上がりを実現しつつ大量印刷に向いていることから、細かな文字や描写のあるイラストや写真などの印刷に適していて、一般的なチラシ、パンフレット、ポスター、DM、雑誌など、多くの印刷物に使われています。
大量の印刷物を高速かつ効率的に生産することができるため、オフセット印刷機は「商業印刷機」として広く使われています。
オフセット印刷の歴史は?
大量にきれいな仕上がりのオフセット印刷ですが、誕生からすでに200年以上経っています。
1796年に、オフセット印刷の基本原理である「水」と「油」の反発を利用した石板印刷が発明され、1853年にイギリスでオフセット印刷の特許が取得されました。
1904年には、アメリカで紙へ印刷できるオフセット印刷機が開発され、1900年頃に日本にも外国製のオフセット印刷機が次々と伝えられたのです。
ハマダ印刷機械の浜田初次郎がアメリカのポッター社の印刷機をもとに日本で初めてのオフセット印刷機を開発しました。
第二次世界大戦後には、紙以外の材質のものにも印刷できるように技術が発展し、2020年になった今でもポスターや教科書、名刺など多くの印刷物で使われているのです。
オフセット印刷の仕組みと作業の流れ
①刷版
まず、特殊な塗工を施しているアルミのプレートに図柄を焼き付けます。これを「版」と呼びます。
②印刷機にセット
「版胴」と呼ばれるローラーに巻き付けます。
③版に水を浸す
「湿し水」と呼ばれる特殊な水を版全体に浸し膜が貼られます。図柄部分は、水を弾く特殊な塗工がされているため、その部分だけは水を弾きます。
④インクを乗せる
版にインクを乗せます。インクは油性であるため、水の膜が貼っている所には付かず、水を弾いている図柄部分にのみインクが乗ります。
⑤ゴム胴に転写
ブランケットと呼ばれるゴムを巻いた胴に図柄が転写されます。
⑥紙に転写
紙は、ブランケットと圧胴というローラーで挟まれ、図柄が紙に転写されます。
仕組み① 構造
オフセット印刷は、水と油の反発を利用した印刷方式です。特殊な塗工がしてあるアルミ版に図柄を焼き付け、印刷機にセットした後、湿し水と呼ばれる特殊な水を版に付けます。図柄部分は水を弾き、そこにインクが乗ります。版に着いたインクは、ブランケットと呼ばれるゴムで出来た胴に転写されます。そこから紙に転写され、印刷機から排出されます。オフセット印刷の特徴は、印刷プレートと印刷物の間に中間媒体であるブランケットを使用することです。この構造により、鮮明で高品質な印刷物を効率的に大量生産することができます。また、柔軟性があり、さまざまな種類の紙や他の印刷素材に対応することも可能です。
仕組み② 色表現
オフセット印刷は、一般的にCMYKという4色のインクを使って印刷します。CMYKは、シアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)、ブラック(Black)の4色になり、この4色のインクを重ねることで、さまざまな色を再現することができます。例えば、青いインクのシアンと、赤いインクのマゼンタを重ねると紺色や紫色になります。
仕組み③ 網点
色の濃さは、刷版される前(プリプレス)の段階で元データから、ベタや網点に分解され、版に焼き付けられます。
ベタは、塗りつぶしの事で、100%の色の濃さになります。網点は、一定の間隔で配置された小さな点の集合の事を指します。網点にインクを乗せて印刷する事で色の濃淡を表現します。網点は、サイズや点の間隔を変えることで薄い色や濃い色の調整が可能です。画像や写真のグラデーションなどに使われます。
オフセット印刷の種類は?
オフセット印刷機には、大きく分けて、枚葉印刷機と輪転印刷機の2種類あります。以下ではその印刷機の違いや特徴を説明致します。
1:枚葉印刷機
枚葉印刷機とは、1枚1枚、四角い用紙を流して印刷していく印刷機の事を指します。枚葉印刷機は、印刷物の用途やサイズ、様々な用紙の種類に対応出来るという特徴があります。
2:輪転印刷機
輪転印刷機とは、トイレットペーパーのようロール紙を使用し、紙が繋がった状態のまま印刷され、印刷された後に裁断される仕組みの印刷機を指します。
高速で大量生産が可能なため、新聞、雑誌など大量生産が必要な印刷物に適しています。
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オフセット印刷と他の印刷の違い
次に、オフセット印刷が他の印刷手法とどのように違うのかをわかりやすく解説していきます。
また、別のコラムでは印刷の種類について記載がありますので、そちらもご覧くださいませ。
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1:オンデマンド印刷との違い
オフセット印刷とオンデマンド印刷の違いは、オフセット印刷が大量の印刷物をきれいに印刷できる手法に対し、オンデマンドは少量の印刷物をある程度の品質で印刷できる手法です。
・オフセット印刷 :大量の印刷物をきれいに印刷できるが、少量印刷には不向き
・オンデマンド印刷 :種類の異なる少量の印刷物を印刷できるが、大量印刷だとコストが高い
オンデマンド印刷は、「on-demand(要求に応じて)」という言葉が付けられている通り、1枚からでもその要求に応じて印刷できます。一般家庭やオフィスで使用される印刷機は基本的にオンデマンド印刷です。
異なる種類を少しずつ印刷したいという要望に答えているオンデマンド印刷ですから、オフセット印刷に比べ仕上がりの品質は下がりますが、一枚単位で印刷できるのがオフセット印刷との違いです。
別のコラムではオンデマンド印刷のメリット、デメリットについて記載がありますので、そちらもご覧くださいませ。
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2:インクジェット印刷の違い
オフセット印刷とインクジェット印刷の違いは、オフセット印刷が平板やブランケット(ゴム)を使うのに対し、インクジェット印刷は、粒子化したインクを紙に直接噴きつけて印刷します。
その為、インクジェット印刷は一枚からでも印刷することが可能で、一般家庭やオフィスの印刷機で一般的に用いられる印刷方法の一つです。
一方で、インクジェット印刷は印刷速度が遅い為、大量に印刷したい場合はオフセット印刷が向いていますが、もし少ない枚数のポスターなどを印刷したい場合はインクジェット印刷のがよいでしょう。
3:グラビア印刷との違い
オフセット印刷とインクジェット印刷の違いは、オフセット印刷が平板やブランケット(ゴム)を使うのに対し、グラビア印刷は、凹版印刷(おうはんいんさつ)と呼ばれ、版の凹んだ部分にインキを付着させて、印刷物に押しあてることで印刷する技法になります。
グラビア印刷は、色の濃淡を表現をするのに優れています。写真の印刷に使われることが多いです。オフセット印刷は、印刷スピードが早くチラシなどの印刷に向いています。
どちらの印刷方法も、用途や目的によって使い分けることが大切です。別のページではグラビア印刷についての特徴やメリットなどの記載がありますので、そちらのコラムもご参照下さいませ。
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4:フレキソ印刷との違い
フレキソ印刷とは、凸版印刷の一種で、柔軟なゴムや樹脂で作られた版にインキを付着させ、紙やフィルム等に転写させる方式です。 版に弾力があるため、ダンボールなど凹凸のある素材に印刷できる特徴があります。
また、一般的には水性インキを使用するので環境への負担が少ない事、オフセット印刷よりコストが安い事が挙げられます。
ただ、フレキソ印刷の版は、網点が粗く、オフセット印刷のようにきれいな網点やグラデーションの再現が難しく、細密な印刷には不向きです。
オフセット印刷のメリットとは?
次に、オフセット印刷の特徴とメリットを解説します。
すでに説明していますが。オフセット印刷の最大の特徴は、大量にきれいな印刷物を印刷できる点です。
また、一度平板を作ってしまえば、繰り返し刷ることが可能で、その速度は非常に早い為、コストを抑えることができます。
メリット1:大量印刷に向いている
オフセット印刷は、高速で大量の印刷物を生産することができます。大きなサイズの紙にも対応出来るため、多面付け印刷が可能で、印刷機の設備や技術によっては、1時間あたり何十万枚もの印刷物を生産する事が出来ます。
メリット2:コストを抑えられる
オフセット印刷は、大量生産が可能なため、一枚あたりのコストが低くなります。また、印刷機の技術進歩により、効率的なインキの使用や省エネルギーの実現が進んでいるため、コスト効率が高まっています。
メリット3:色々な用紙サイズに対応できる
オフセット印刷機は、A3程のサイズから、A0判まで印刷できる大型の印刷機があり、さまざまなサイズの紙に印刷する事が可能です。
官製はがきなどの小さいもの、大判ポスターなど、多様な注文に対応できる印刷機はメリットが大きいと言えます。
メリット4:使用可能な紙の種類が豊富
オフセット印刷は、薄紙から厚紙、ある程度凹凸のある紙まで、さまざまな種類の紙に対応することができます。チラシ、はがき、名刺、冊子の表紙と本文など、さまざまなニーズに応えることが可能です。
メリット5:写真やイラストなど、細かい描写の印刷を表現できる
オフセット印刷は、精度の高い網点技術により、細かい描写の高品質な印刷が可能です。CMYK4色を使ったカラー印刷では、鮮やかで正確な色再現や高解像度の画像表現などが実現できます。
オフセット印刷のデメリット・注意点は?
続いて、オフセット印刷の注意点やデメリットについて解説していきます。
オフセット印刷で注意したいのが、最初の発注から納品までは時間がかかりがちな点です。なぜなら、平板を制作する時間がかかるためです。
また、小ロットの印刷や内容が微妙に異なる印刷には向かない手法なので、印刷物が少ない場合は違う印刷方法を試した方がよいでしょう。
デメリット1:版を製作する必要があるため、小ロット発注には不向き
コピー機とは違い、仕組み上、版を製作する必要があるため、小ロットの印刷ではコストが割高になってしまいます。1枚~100枚ほどのはがきや名刺であればデジタルオンデマンド印刷の方が、コストを抑えられ事が多いです。
デメリット2:製版に時間を要する
印刷する前に製版という工程があるため、データからすぐ印刷する事が出来ません。
データをもらいすぐその場で印刷するという事が不可能なため、ある程度の時間が必要になってきます。
店頭ですぐ印刷して欲しい、というニーズにはデジタルオンデマンド印刷が向いているでしょう。
デメリット3:内容が微妙に異なるものを印刷するには不向き
オフセット印刷は、一度に大量の印刷物を生産することが得意なため、カスタマイズ性には制限があります。そのため、個人のニーズに合わせた印刷物の生産には、フレキソ印刷やデジタルオンデマンド印刷が向いている場合があります。
オフセット印刷に向いている印刷物一覧
1 雑誌や新聞などの出版物:オフセット印刷は、高速大量生産が得意なため、雑誌や新聞などの出版物に向いています。また、カラー印刷が必要な場合でも高品質な印刷物が作れるため、色調の再現性が重要な出版物にも適しています。
2 パンフレットやカタログ:パンフレットやカタログは、多数のページからなる場合がありますが、オフセット印刷は高速大量生産が得意なため、効率的に生産することができます。また、紙質や仕上がりにもこだわりたい場合にも適しています。
3 ポスター:オフセット印刷は、大型の紙にも対応できるため、ポスターの制作にも向いています。また、高品質な印刷物を大量生産することができるため、イベントやキャンペーンなどの需要が多いポスターの制作にも適しています。
4 包装用紙:オフセット印刷は、紙質や印刷色にこだわりながら大量生産することができるため、商品パッケージの印刷にも適しています。また、食品や医薬品などの包装用紙にも使われます。
5 名刺や封筒:オフセット印刷は、高品質な印刷物を大量生産することができるため、名刺や封筒の制作にも向いています。特に、ロットが多い場合には、オフセット印刷が最適な選択肢となることがあります。
”東京カラー印刷通販”の印刷サービス
東京カラー印刷では、小型から大型のオフセット印刷機を取り揃えておりますので、お客様のさまざまなニーズに対応する事が可能です。
また、オフセット印刷デメリットでもある、小ロットには苦手な面や、スピード印刷に対応できないことなど、弊社では多面付け印刷を行う事や、スピード対応も可能となっております。
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まとめ
さて、オフセット印刷の説明をさせていただきましたがいかがでしたでしょうか。普段目にしているほとんどの印刷物がオフセット印刷で生産されたものであること、オフセット印刷は、実は非常に身近なものであるということが、少しでもお判りに頂けたでしょうか。
これをきっかけに、もし今後、今まで考えていなかった商品や技術についてお考え頂ければ幸いです。