印刷用紙の一種に、アート紙と呼ばれる用紙があります。
アート紙はどういった紙なのか、どんな用途に使われるのか、知らない人も多いのではないでしょうか。
そんなアート紙について、
・アート紙と他の印刷用紙の違い
・アート紙の用途は?
・アート紙の注意点
などを解説します。アート紙について知りたい方はどうぞご一読ください。
アート紙とは?特徴は?塗工紙の一種
印刷用紙を大きくわけると、以下の2つに分類できます。
- 塗工紙(塗料が塗ってある)
- 非塗工紙(塗料が塗られていない)
アート紙は「塗工紙」の一種で「A1コート」と呼ぶ場合もあります。
ポスターやカレンダーなど、印刷時に高度な再現性が求められるときに使われるのが特徴。
主な用途については、あとで詳しくまとめているのでぜひ参考にしてください。
アート紙の原料は?
アート紙は化学パルプ使用率100%の紙に、なめらかさや艶・白色度などを高めるための塗料を塗って作られます。
塗料の主な原料は、カオリン・サチンホワイトなどの鉱物性白色顔料(着色剤)。
これらをカゼイン・合成ラテックス・ポリビニルアルコールなどの接着剤と、混合したものが使われます。
アート紙と他の印刷用紙の違い
アート紙以外の塗工紙には、コート紙・マット紙があります。
アート紙と比べた際の
・コート紙との違い
・マット紙との違い
を、それぞれ説明していきます。
アート紙とコート紙の違い
アート紙とコート紙の違いを以下にまとめました。
アート紙 | コート紙 | |
塗工量 | 40g/㎡前後 | 20g/㎡前後 |
光沢 | 強い | アート紙より控えめ |
なめらかさ | 高い | 標準 |
値段 | コート紙より高い | アート紙より安い |
印刷後の彩度 | 高い | 標準 |
アート紙は印刷されていない状態だと、コート紙との違いがほとんどわかりません。
ですが、印刷後を見るとあきらかに発色の違いがわかります。
アート紙は、コート紙よりも色が綺麗に表現できます。
果物の赤や、海の青など、鮮やかな濃い色を印象的に見せたい場合はアート紙を使うとよいでしょう。
コート紙の主な用途は、新聞・店のチラシやメニューなど。
アート紙より安価なので、高い再現性を求めないときや大量印刷のときは、コート紙が選ばれています。
アート紙とマット紙の違い
アート紙とマット紙の違いを、以下にまとめました。
アート紙 | マット紙 | |
塗工量 | 40g/㎡前後 | 20g/㎡程度 |
光沢 | 強い | ほぼない |
なめらかさ | 高い | 低い |
値段 | マット紙より高い | アート紙より安い |
印刷後の彩度 | 高い | 標準 |
マット紙は光沢が出ないよう艶消しを施した紙なので、見た目の高級感ではアート紙の方がすぐれています。
ただし長時間見たときの目の疲れにくさでは、マット紙の方がすぐれています。
マット紙は文字と絵をバランスよく見せたいときに使われています。主な用途は名刺・会社案内・カードなど。
アート紙の厚さは?
アート紙の厚さは、以下のようになります。
斤量(1000枚の厚さ) | 紙厚(1枚の厚さ) | 坪量(1枚の重量) | 厚みの近いもの |
135kg | 約0.13mm | 約157g/m2 | 週刊誌表紙 |
160kg | 約0.17mm | 約186g/m2 | 厚手の模造紙 |
塗料を厚く塗っているアート紙は、同じ厚さのコート紙・マット紙と比べても厚く感じられます。
基本的にアート紙は160Kgまでしかありません。
それ以上の厚さのものは、アートポスト紙と呼ばれています。
アート紙の用途は?
アート紙の用途例は、以下のようになります。
- 高級美術書
- 写真集
- 雑誌の表紙
- ポスター
- カレンダー
- カタログ
- 高級美術書
- 書籍の口絵
- パンフレット
アート紙は、写真印刷など仕上がりが重視されるものに使用されることが多いです。
光沢や網点の再現性などにすぐれ、高級美術印刷に用いられます。
アート紙の注意点
アート紙の注意点としては、広範囲にわたる塗りつぶし(ベタ塗り)の面積が多いときは、用紙同士が擦れてインクが落ちる・転移するおそれがあります。
印刷後の乾燥に時間をかけるか、表面加工(ニス加工・PP加工など)を行うとよいでしょう。
アート紙を使って印刷をしよう
アート紙についてまとめると、以下の通りです。
- 写真や絵をきれいに見せたいときに使う
- 塗工紙のなかでは値段が割高なので注意
- ベタ塗りの多いときは乾燥に時間をかける
値段が割高とはいえ、アート紙は再現性が高く高級な印刷物に適しています。
アート紙を使って、ワンランク上の印刷物を作りましょう。