紙には、様々種類が存在しますが、なかでもよく耳にする普通紙・上質紙・再生紙等の大別された紙種について、ここでは触れて行こうと思います。
ここでは各紙種の特徴や、使用用途、またメリットデメリット等についてお伝えしようと思います。
- 印刷やコピーに使う用紙の主な種類をおさらい
- それぞれの紙のメリット・デメリットとは?
- それぞれの紙の特徴・おすすめのシーンとは?
- それぞれの紙の注意点とは?
- よくある疑問を解決《上質紙編》
- よくある疑問を解決《再生紙編》
- 印刷やコピーに使う用紙は目的に合わせて選ぼう
印刷やコピーに使う用紙の主な種類をおさらい
印刷やコピーに使われる用紙は加工紙と非加工紙の2種類にわかれますが、中でもオフィスなどで多用されているのがパルプから生成しただけの非加工紙です。
非加工紙はさらに「普通紙」、「上質紙」、「再生紙」の3つにわかれていますが、それぞれ特徴やコストが異なるので、用途に合わせて選べるよう基本的な知識を押さえておきましょう。
上質紙
上質紙は化学パルプを100%使用して作られた用紙です。
表面にコーティングが施されていないため、インクジェットプリンターやレーザープリンターの印字をきれいに再現することができます。
表裏ともにコーティングされていないため、印刷やコピーだけでなく、ボールペンなどを使って直接文字を書き込むのにも適しています。
パルプ比率が高いので、コーティングを施した用紙に比べると紙にコシがあり、強度も高いところが特徴です。
再生紙
古新聞や古雑誌などの古紙をほぐして繊維状にしたものをすき直して作った用紙です。
資源や環境問題に少なからず貢献できる事から、近年は国や官公庁からも再生紙の使用が推奨されています。
古紙がわずかでも混じっていれば「再生紙」と定義されますが、リサイクル率の高い日本では古紙配合率が70%を超えている物が少なくありません。
再生紙の原料となる古紙にはインクなどの不純物が残っているため、古紙配合率が高ければ高いほど用紙に色がつきます。
普通紙
コピーや印刷に使われる用紙のうち、大多数を占めているのが普通紙です。
「普通紙複写機(Plain Paper Copier)」に使われる事から、頭文字を取って別名「PPC用紙」とも呼ばれています。
汎用性が高い事から、日本で最もシェア率の高いコピー用紙として知られています。
ごくスタンダードなタイプの他に、やや厚手でインクジェットプリンターの両面印刷に対応している両面印刷用紙や、紙に色がついているカラー用紙などの種類もあります。
それぞれの紙のメリット・デメリットとは?
「普通紙」、「上質紙」、「再生紙」それぞれのメリット、デメリットとは?用紙の違いによって何が変わるのか、掘り下げて見てみましょう。
上質紙
コピーやプリンターに適した普通紙に比べると筆記適性があり、直接文字を書き込んでもにじみにくいのが特徴です。また、表面強度が高いため、オフセット印刷などにも利用できます。
単純な印字はきれいに仕上がりますが、表面にコーティングが施されていない分、写真を印刷するとインクにじみが発生する事があります。
厚みやコシがあるのでプリンターの機種によっては紙詰まりを起こしてしまう可能性があります。
再生紙
再生紙のメリットは本来なら廃棄されてしまう古紙をリサイクルできるところです。
単純にごみを減らせるのはもちろん、バージンパルプの使用量を減らす事で森林資源の節約につながります。
環境に優しい一方で、古紙をリサイクルするには、分別や祭壇、インキの除去などさまざまな手間がかかるため、生産コストは他の用紙に比べて割高になります。
また、古紙を使っているぶん、印刷適性や耐久性は他の用紙に比べてやや劣ることから、再現性を重視する場合や長期保存を目的とする場合は不向きです。
普通紙
用紙の中でも特にリーズナブルなのでコストを抑えられるところがメリットです。
また、たいていのコピー機は普通紙に対応しているため、機種を選ばずに利用できるのも利点です。
文字の印刷には適している一方、印刷品質自体はあまり高くないため、画像印刷には向いていません。
また、耐水性が低いので、湿気の高いところに置いておくと印刷がにじんだり、紙がよれたりする可能性が高くなります。
それぞれの紙の特徴・おすすめのシーンとは?
「普通紙」、「上質紙」、「再生紙」それぞれの特徴や、よく使われる商品などを比較してみました。違いが分かると、どういったシーンでどの用紙を選択すればよいのか分かってくると思います。
上質紙
上質紙は印字に適している事から、雑誌やチラシ、ノートなどさまざまな用途に活用されています。
特に厚手のものは名刺などに使われる事もあり、ビジネス面でも重宝される用紙です。
再生紙
近年は再生紙のコーティング技術が飛躍的に向上し、比較的普通紙に近い質感に仕上がっています。
そのため用途も幅広く、書籍や教科書、雑誌などに用いられる事が多いようです。
普通紙
文字の多いシンプルな文書のコピーに向いています。
発色はあまり良くありませんが、簡単なイラストやグラフ程度なら問題ないので、会議の資料作成や社内向けの通達文書の印刷におすすめです。
それぞれの紙の注意点とは?
紙によっては注意すべき点が変わってきます。デザインや企画の段階から用紙の特性について考慮すると未然にトラブルを防ぐことが出来ます。
上質紙
インクが沈む傾向があるため、色が着いた者や、絵柄などについては、印刷時に色の確認、にじみの確認が必要になる事があります。厚みやコシがあるのでプリンターの機種によっては紙詰まりを起こしてしまう可能性があります。
再生紙
耐久性が低い、紙粉が出やすかったり、再生する原材料の影響から品質にばらつきがあったり、印刷の表裏への配慮や、資源の活用の為、斑点が入ってしまったりと注意点などがあるのも事実ですが、環境問題への配慮の観点から見た時には、これらデメリットを超えるメリットが受けられると思います。
普通紙
オフィスでよく使われるコピー用紙などが、これに当たると思います。安価で入手でき、インクジェットプリンターや、レーザープリンター等の様々な機器での印刷に対応できます。提出書類等の印刷にも使われることがあるかと思いますが、提出先に白色度等の指定を受ける場合があるので、その辺りにも注意を払う必要があるかと思います。
よくある疑問を解決《上質紙編》
上質紙に関するよくある質問には、以下のようなものがあります。
Q: 上質紙とは何ですか?
A: 上質紙は、木材パルプから作られた非加工紙になります。印刷や加工に適した素材です。
Q: 上質紙の価格帯はどのくらいですか?
A:。例えば、文書やカタログなどに使用される上質紙は、名刺や封筒などに使用される上質紙は、比較的リーズナブルな価格で購入できる場合があります。
Q: 上質紙は、どのような印刷方法に適していますか?
A: 上質紙は、印刷方法によって異なります。例えば、オフセット印刷やデジタル印刷、凹版印刷などに適しています。
Q: 上質紙は、どのような用途に適していますか?
A: 上質紙は、色の多い印刷物よりは、テキストベースの冊子やなど、ノートなどに適していると言えると思います。
これらは一例であり、上質紙に関する疑問点は用途や目的によって異なる場合があります。
似ている用紙との違いは?
コピー用紙 | コート紙 | マットコート紙 | ケント紙 | |
特徴 | 非塗工紙。艶はなし。 鉛筆、ボールペンの筆記に適している。マジックは紙の下まで滲むので注意。 |
塗工紙。ツルツルしていて光沢がある。 マジックでは書けるが鉛筆での筆記には適さない。 |
塗工紙。紙にコーティングはしてあるが艶やテカリは少なく、マットな質感が特徴で、高級感がある。 鉛筆での筆記に適している。 |
非塗工紙。いわゆる画用紙の一種だが、滑らかで白色度が高い。厚めの紙で堅牢。高級感がある。 |
印刷 | コピー用紙は強度やインクとの相性から、オフセット印刷で使われる事はあまり見受けられません。オンデマンド印刷では資料印刷などで使用される事があります。 | インクが紙にしみ込む事がないので、インク本来の色が出る。発色もよい。 一般的な印刷物に一番多く使われている。 |
インクが染み込むので印刷後の擦れに注意。光の反射が少ないのでポスターで使われる事もある。 優しい雰囲気のパンフレットや、手触りも良いので表紙にも人気がある。 |
オフセット印刷との相性は良い。 光沢は出ないが鮮やか。厚めの紙なので高級感が出る。 上質紙よりも高価なのでコストパフォーマンスを考えると大量部数のチラシに使うより、名刺など使われる事が多い。 |
コピー | 名前の通りコピー用で、コピー機でのプリントに適している。 | 一般的にコピー機はトナーを使用するので、コート紙には定着しづらくコピー機での使用には適さないと言われています。しかし一部のコピー機では特別なトナーを使用することでコート紙に印刷できるものもあります。 | マットコート紙は表面のコーティングが粗いためトナーが定着しにくい。コピー用紙の給紙トレイにつまる可能性もあります。しかし一部のコピー機では特別なトナーを使用することでマットコート紙に印刷できるものもあります。 | コートやマットは違い、コーティングされていない用紙なのでトナーとの相性は比較的良好です。ただし一般的なコピー用紙よりも吸水性が低いためインクの定着が悪くなることがあります。また、紙が厚く硬さもあるのでトレイにつまる可能性があります。 |
上質紙はどんなものに使われている?
上質紙は、高級感や質感があり、印刷された際にはコート紙では出ない独特な風合いが出る事が特徴として挙げられます。そのため、以下のような用途に適しています。
1.資料の印刷:ビジネス文書やテキストの印刷等に適しているので、オフィス現場ではよく使用されます。
2.名刺、カード:上質な印象を与えるために、高級感のある上質紙が使用されます。
3.パンフレット・カタログ:温かみのある印刷ができるため、商品やサービスの魅力を引き出すことができます。
4.封筒:高級感があり、しっかりとした質感が求められる場合に使用されます。
5.冊子・書籍:読みやすく、長時間の読書でも疲れにくいため、高級な書籍や雑誌などに使用されます。
上質紙は、印刷品質が高く、手触りが良く、高級感があるため、企業や団体のイメージアップにつながります。
よくある疑問を解決《再生紙編》
Q: 再生紙とは何ですか?
A: 再生紙は、使用済みの紙製品をリサイクルして製造された紙のことです。
Q: 再生紙は環境に優しいのですか?
A: はい、再生紙は環境に優しく、木材を使用しないため、森林伐採を防ぎ、二酸化炭素の排出量も削減できます。
Q: 再生紙の品質はどうですか?
A: 近年の技術進歩により、再生紙の品質は向上しています。白さや滑らかさ、厚みなども向上しており、一般的な紙と変わらない品質を持つものもあります。
Q: 再生紙はどのような用途に適していますか?
A: 再生紙は、印刷物や封筒、段ボール箱等、様々な用途に使用されます。
Q: 再生紙はコスト面でどうですか?
A: 再生紙は、一般的な紙と比較して、製造工程が複雑であるため、原料の木材に比べてコストが高い傾向があります。ただし、リサイクルされた紙を使用することで、森林伐採を防ぎ、環境保護に貢献することができます。また、再生紙を使用することで、企業の環境配慮やCSR活動としてのイメージアップにつながることがあります。
Q: 再生紙とリサイクル紙の違いは何ですか?
A: 再生紙は、使用済みの紙製品を再び紙にする製造プロセスを経て作られた紙のことです。一方、リサイクル紙は、新聞紙や段ボール箱などの古紙を原料にして作られた紙のことです。再生紙は、使用済みの紙製品の中には燃えないものや、汚れているものも含まれているため、リサイクル紙に比べて品質が低い場合がありますが、近年の技術進歩により、品質の向上が進んでいます。
再生紙が環境に悪いという噂は本当?
再生紙が環境に悪いと言われる噂があることがありますが、これは誤解や情報の不足によるものが多いです。
再生紙は、使用済みの紙製品をリサイクルして作られたものであり、新たに木材を伐採する必要がないため、森林伐採の防止や二酸化炭素の排出量削減など、環境に貢献することができます。また、使用済みの紙製品を廃棄物として処分する場合よりも、リサイクルして再生紙を作る方が、廃棄物処理の問題を軽減することができます。
一方で、再生紙の製造過程において、使用済みの紙製品を選別し、インクや接着剤などを除去する工程が必要であり、これらの処理に一定のエネルギーや化学物質を必要とするため、再生紙の製造には一定の負荷がかかることがあります。
しかし、これは再生紙の問題だけでなく、一般的な紙の製造においても同様の負荷がかかることがあるため、再生紙が環境に悪いと言うのは正確な情報ではありません。
環境に配慮した紙製品を選択することは重要ですが、再生紙は環境に優しい選択肢であることは間違いありません
エコ用紙との違いとは?
再生紙とエコ用紙は、どちらも環境に配慮した紙製品ですが、異なる特徴があります。
再生紙は、使用済みの紙製品をリサイクルして作られた紙であり、森林資源の節約や廃棄物処理の問題を軽減することができます。一方、エコ用紙は、森林資源の利用量を減らすために、森林認証制度に基づいた木材を使用して作られた紙です。つまり、エコ用紙は、森林が適切に管理され、森林破壊を防止することで、地球環境や社会に配慮した紙製品であるという点が特徴です。
また、再生紙は、使用済みの紙を原材料にしているため、表面に紙くずやインクのつぶが残っている場合があります。一方、エコ用紙は、新しい木材を使用しているため、表面がきれいで、高品質な印刷物を作ることができます。
以上のように、再生紙とエコ用紙は、どちらも環境に配慮した紙製品ですが、製造原材料や特徴などが異なるため、用途に応じて適切な選択が必要です。
再生紙はいつごろからあるの?
再生紙は、実際には古くから存在していましたが、工業化が進んだのは20世紀初頭からです。再生紙の最初の製紙工場は、ドイツで1880年に設立されました。それ以降、欧米を中心に再生紙の需要が高まり、第二次世界大戦後には日本でも再生紙の生産が始まりました。
日本では、1960年代に入って、リサイクルによる資源の有効活用が注目されるようになり、再生紙の需要が急増しました。1970年代には、エネルギー危機が起きたこともあり、再生紙の需要は一層拡大しました。現在では、再生紙は広く使われるようになり、環境保護の観点からも注目されています。
再生紙か見分けるポイントはある?
再生紙は、新しい木材を使用していないため、白さや光沢感が低く、また、紙くずが混じっていることがあります。そのため、再生紙は、以下のような特徴を持ちます。
色がやや黄味がかっている。
光沢感が低く、つや消しのような印象がある。
表面に紙くずや筋があることがある。
厚みが薄い場合が多い。
これらの特徴を見ることで、再生紙であるかどうかを判断することができます。また、商品によっては、再生紙であることを示す「再生紙マーク」が表示されていることがあります。商品のラベルやパッケージに目を向けて、再生紙であることを確認するようにしましょう。
家庭で紙をリサイクルするときのポイントはある?
紙を分別する
リサイクル可能な紙は、種類によって分別します。例えば、新聞紙、雑誌、ダンボール、段ボール箱、カートン、カタログ、チラシ、封筒、紙袋、包装紙などがあります。
分別した紙を回収する
分別した紙は、自治体の回収日に合わせて分別して出します。自治体によっては、分別した紙をリサイクル袋に入れて出すことが求められる場合があります。また、自治体の回収日に合わせて古紙回収業者に出すこともできます。
リサイクルの際には、汚れた紙やプラスチック袋やスチロールなどの異物を選別することが重要です。これらが混ざると、紙繊維の品質が低下するため、リサイクルができなくなってしまいます。また、一般のごみとして捨てる場合は、自治体のルールに従って分別するようにしましょう。
印刷やコピーに使う用紙は目的に合わせて選ぼう
印刷やコピーに使用する用紙にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴やコストに違いがあります。
最もシェア率が高いのは普通紙ですが、書き込みを行う場合や環境の事も考えたいという場合は上質紙や再生紙の利用も候補のひとつになるでしょう。
印刷やコピーの目的が多岐にわたる場合は、複数の用紙を常備してシーンごとに使い分けるのもおすすめです。